失はれる物語

「…今ここで、きみに言いたい。同封した写真を見て。きみはいい顔している。際限なく広がるこの美しい世界の、きみだってその一部なんだ。わたしが心から好きになったものの一つじゃないか。」

失はれる物語

失はれる物語

自分がいかに微々たる存在であるか、別に今まで満足していたとかではなく、ただ他人と比較してなんでこんなに違うのか…とか考えてたら、染みついてしまった                                           

これを初めて読んだ当時高校生で、帰りの電車の中で読了したのをはっきり覚えてる。

未だにそうだけど、話に出てくる人が現実味を帯びていて自分の知らないどこかで普通に生活してるんじゃないか、みたいに思う時があって、

そういうのもあいまってわんわん泣いた。

この小説は短編集なもんで、お勧めは“幸せは子猫のかたち”。上の台詞も出てきます。

読んだ後の心地良さは最高、これがきっかけで乙一さんの本を読む様になりました。